メキシコ人映画プロデューサーがトランプ大統領を支持する訳
先日、ハリウッドの映画プロデューサーエドゥアルド・ヴェラステーギに会った。
共通の知り合いプロデューサーの紹介で、わざわざキックバックカフェ(http://www.kickbackcafe.jp)まできてくれたんだ。
とて誠実で素晴らしい人だったよ。
メキシコ出身だし、今も家族がメキシコにいるから、トランプ新大統領についてどう思うか聞いてみた。
僕はてっきり、エドワルドがトランプ大統領を批判すると思っていた。
メキシコ人はレイピストだとか、彼らがアメリカの雇用を奪っているなどと言ってメキシコを非難し、国境には壁を作り、その費用はメキシコに支払わせると言ってるわけだからね。
ところが彼は、トランプ大統領について、三つの点で非常に高く評価していた。
◼︎中絶反対の大統領令
一つ目は、トランプ大統領が世界各国で人工妊娠中絶を支援する非政府組織(NGO)への助成を禁じる大統領令に署名したことだ。
これは、中絶に反対する保守派の意向を汲んだ政策で、オバマ政権からの大転換となった。
日本では全くと言っていいほど話題にならないが、アメリカでは中絶に賛成か反対かで国論は二分される。
中絶に反対であればキリスト教保守派の支持を取り付けられるし、賛成派であればリベラル勢力から支持されるからだ。
トランプ大統領は、彼の個人的な信仰がどうであれ、キリスト教保守派の考えを代弁する政策を打ち出して選挙を戦った。
だから白人保守派キリスト教の80%以上が彼を支持した。
その目玉スローガンの一つは、中絶に反対であることを明確に打ち出すことであり、就任後速やかにサインした大統領令は、保守派を満足させるものだった。
エドアルドは、メキシコ生まれのカトリク教徒だ。
個人的に話しをさせていただき、彼の人生の紆余曲折を聞いたが、彼は相当熱心なカトリク信者である。
そして、「命の尊厳」という大きな命題について、はっきりとした考えを持っている。
この映画によって、生まれる前に処分されるはずだった6000人以上の赤ちゃんの命が救われたという。
この数字は、映画を見て「中絶せずに産むとにした」というレスポンスを直接送ってくれた母親の数だそうだ。だから、実際にはもっと多いだろうと嬉しそうに語ってくれた。
彼は『Pro Life』、すなわち中絶反対派なのだ。
その思いは真剣で、映画制作へと彼を駆り立てたほどだ。
だから、彼はトランプ大統領がメキシコを非難しようがなんだろうが、「命の尊厳」という、もっと大きな根源的な命題についての政策に賛同できるから、この点についてトランプを支持しているのだ。
◼︎最高裁判事の人事
1月31日の夜、大統領によって最高裁判事に指名されたニール・ゴーサッチの人選については、まさに保守派がトランプを支持してきた最大の理由と言える。
保守主義というのは、簡単にいえば「古き良きアメリカ」である。
アメリカでは同性婚が合法となっている州もある。
公立学校では「お祈り」をすることさえ禁止されてしまった。
我々日本人としては、ミッションスクールじゃないんだから、当然じゃない?と思うかもしれないが、そもそも建国の精神にもどれば、白人キリスト教徒が作った国なのだから、公立学校はお祈りをする場であって、それが禁止されるなどというのは、保守からすれば「世も末」なのだ。
◼︎入国制限
イスラム7カ国からの入国一時停止という大統領令が物議を醸しているが、これに半数以上のアメリカ人が賛成している。
これも、古き良きアメリカの精神にたてば当然のことだ。
だから、本当は元のアメリカに戻したいと思っている人が多いのだ。
それが、トランプが大統領に選ばれた最大の理由である。
◼︎保守主義が支持する三つのこと
①トランプはキリスト教保守派の立場に立ち、中絶に資金が流れないようにした。
③しかしそれは、中絶や同性婚に反対し、伝統的な家族の概念を守る考えである。
このような側面はなかなか日本のメディアではとりあげられないアメリカの現実である。