BRIDGE ~世界に広げよう日本の心~

右でも左でもないど真ん中.石井希尚(Marre)のブログ

オバマだから起こったこと

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オバマ大統領の広島訪問。
歴史的な日だ。
彼が歴代のアメリカ大塗料と同じように、歴史に名を刻みたいと思っていたのだとしても、過去70年間、同じ野心をもった誰によっても実現しなかったことだ。
70年かかったが、オバマ大統領だったから実現した。
これは、彼が米国初の黒人大統領だったことと無関係ではない。
アメリカでの黒人社会に深くかかわると、彼らはアメリカ人であることに誇りを持ちながらも、白人による侵略の歴史に対する強い嫌悪感を持っている厳然たる事実に気付かされる。
アメリカに存在する根深い黒人差別。
オバマは大統領になったが、人種としては「被差別民」であるという現実がある。
以前、米国での黒人少年殺害事件や、人種差別問題に言及した際、「犠牲者は自分でもありえた」と演説した。
白人による差別により、むしけらのように扱われてきた奴隷としての苦難の歴史を背負っているアフリカ系米国人の共通集団意識は、日本への原爆投下を人種主義と結びつけて考える。
白人至上主義により、日本人は犠牲になったのだと。

戦争中、連合軍の一員であったオーストラリアのトーマス・ブレーミー将軍は、日本人についてとんでもない発言をしている。
「諸君らが闘っているのは奇妙な人種である。人間と猿の中間にあると言っていい。文明存続のために我々は最後まで戦いぬかねばならない。日本人を根絶しなければならない!」

戦時下にあって、日系人だけは、強制収容所に入れられ、多くの命が失われた。
自由の国アメリカで、アウシュビッツのような収容所があったのだ。
しかし、同じ敵国であったのに、ドイツ人もイタリア人も自由を奪われていない。
彼らは白人だったからだ。
この認識は、アメリカの黒人社会では常識だ。
オバマ大統領が米国の大統領でありながら、被差別民の苦難を背負っていることが、70年間、誰もやろうと思わなかった広島訪問を実現させた動機の一部であったことは疑いの余地がない。
彼が被爆者をハグしたとき、胸に迫る思いがあった。
同じ有色人種だから共有できる同情心を、
彼は心に抱いていたのだと思える場面だった。